大野城をあるく(増長天礎石群)
更新日:2019年10月21日
(広報「大野城」 平成23年8月15日号掲載)
大野城跡では、これまで50棟以上の礎石建物跡(平坦な石の上に柱を立てた建物)が発見されています。これらの建物は、数棟あるいは十数棟ごとにまとまって、城内(土塁・石塁の内側)に点在しています。今回紹介するのは、そのまとまりの一つ「増長天礎石群」です。
「増長天」とは
不思議な名称に聞こえますが、これは奈良時代からこの山に祀られていた四天王の名前に由来するものです。増長天は四天王の中で南方を護る神として知られており、この礎石群も大野城跡の南側に位置しています。
この場所に礎石群があることは、江戸時代から知られていましたが、その姿が明らかになったのは、昭和48年から49年にかけて行われた九州歴史資料館による発掘調査でした。
増長天礎石群
調査の結果、建物の短軸に柱を4本、長軸に柱を6本並べた建物が4棟発見されました。4棟はいずれも同じ柱の配置、同じ面積(66平方メートル)、同じ向き(縦方向に一直線)で、整然と建てられていました。また礎石群内には1ケ所段差があり、土留めのための石垣(長さ約10メートル、高さ約1メートル)が残されていました。
建物の機能としては、その構造や出土遺物から、いずれも瓦葺の倉庫跡と考えられています。倉庫の中には、篭城のための食料や武器が収められていたのでしょうか。詳しいことは判っていません。
当時の風景
増長天礎石群の特徴としては、土塁や井戸(鏡池)が近くにあることが挙げられます。約千三百年前、大野城を守る防人たちは、土塁沿いに警備や倉庫の点検を行い、暑い夏の日には鏡池の水で喉を潤したことでしょう。増長天礎石群は、遊歩道に面し、駐車場も近いことなどから、立ち寄りやすいスポットです。一度見学してみてください。
注:大野城跡へのアクセス方法は関連リンクを参照してください。
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