水城をめぐる9〈建物跡〉/水城をめぐる10〈小水城跡〉
更新日:2019年12月5日
水城をめぐる9〈建物跡〉
(広報「大野城」 平成26年4月15日号掲載)
水城跡では、門を除く建物が広範囲で5カ所発見されています。
今回は、このうち(1)東門付近と(5)西側丘陵部の建物を紹介します。
東門付近の建物
県道112号と水城跡が交差するところに東門があり、その太宰府市側に、床面積約80平方メートル (約24坪)の建物跡が発見されました。これは、水城跡では最大規模ですので、水城を管理するための建物であったと想定されています。
この建物とは別に県道の東側には、建物の柱を支えるための「礎石」が発見されていることから、別の立派な建物があったようです。官道(古代の国道)に隣接していて、何か特別な意味のある建物だったのでしょうか。
西側丘陵部
水城西端部の西側、水城を見下ろすことができる小高い丘の上で小さな建物が発見されました。この地域は以前「矢倉」という地名で呼ばれ
ており、望楼(遠くを見渡すためのやぐら)があったのではないかと言われていますので、この小さな建物が望楼であった可能性があります。
有事の際には敵の侵入を監視したり、普段は水城を往来する人々を見守っていたのでしょう。
このほかにも、(2)水城瓦窯付近や(3)水城跡と御笠川が交差する部分の東側、(4)水城西門付近でも建物が発見されていますが、まだまだ全体の一部を調査しただけであり、今後も新たな建物の発見が期待されます。
(5)矢倉と呼ばれていた丘
建物の位置(1)から(5)
水城をめぐる10〈小水城跡〉
(広報「大野城」 平成26年5月15日号掲載)
今回は、水城跡西側にある「小水城跡」を紹介します。
小水城跡
大野城市から春日市に連なる丘陵の谷部をふさぐように小形の防塁が点在しています。水城から近い順に、上大利小水城跡、春日市の春日小水城跡、小倉小水城跡、大土居水城跡、天神山小水城跡が確認されていて、水城跡を迂回して大宰府に攻め込む敵を防ぐ役割があったと考えられています。
小水城の調査
5カ所の小水城のうち、大土居と上大利の小水城跡では、発掘調査により土塁の規模や構造が明らかとなっています。
大土居水城跡は春日市教育委員会による発掘調査の結果、土塁の規模は高さ約8メートル、幅約40メートル、長さ約75メートルであったことが分かっています。
このほか版築土塁や木樋(導水施設)が確認され、水城跡とよく似た構造であることも分かりました。一方で、土塁前面には水城跡のような濠がないといった違いもありました。
旭ケ丘に位置する上大利水城跡は、大野城市教育委員会が行った発掘調査で、高さ約2メートル、最大幅約20メートル、長さ約80メートルの土塁と木の杭などが確認されました。土塁の前面には大土居水城跡と同じく濠はなかったものの、自然のぬかるみになっており、防御の役割を果たしていたと考えられています。
こうした小水城跡からは、当時の人々の大きな不安と共に、敵を防ぐための必死の努力や技術の痕跡を垣間みることができます。
上大利小水城の土塁下部から出土した木杭(写真右側が土塁)
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