民具展/卓袱台
更新日:2019年8月19日
民具とは、人々が日常生活で必要になり作った道具のことで、地域に受け継がれてきた生活を伝える貴重な資料です。
今回は、「民具展 お父さんとお母さんが子どもの頃」に展示した民具の中から「卓袱台(ちゃぶだい)」を紹介します。
卓袱台
卓袱台(ちゃぶだい)とは?
食事をするときに使う道具は食卓(しょくたく)といいますが、昔の食卓は「卓袱台(ちゃぶだい)」というものでした。形は丸型か角型で、高さは1尺(しゃく)(約30センチメートル)、幅は大きくても3尺(約90センチメートル)より小さめのものがほとんどです。写真の卓袱台は丸型で直径は約73センチメートルです。
真ん中の板を取り外した様子
真ん中にコンロなどを取り付けている様子
台の上は1枚の板であることが多いのですが、上の2枚の写真のように真ん中に穴があいていて、そこに七輪(しちりん)をすえ付け、コンロやお酒の燗(かん)付け器を付けられる種類もあります。
特徴的なのは、足が折りたたみ式になっていて、使わないときは収納できることです。この形は、日本の家の部屋数の少なさに理由があります。食事をする部屋は夜は寝室になるため、卓袱台を片付ける必要があったからで、日本の家の事をよく考えた便利な機能です。
たたんだ様子
卓袱台の前はどうしていた?
卓袱台が出る以前は、人々は膳(ぜん)で食事をしていました。膳は家族一人一人が自分の食事をのせて食べるもので、その前に座り食事をしました。座る席は、父親・母親・子ども・使用人によって、上座や下座などと決められていました。大正時代、国家的な取り組みで、古い生活習慣を改め近代的な生活をしようという動きが出たとき、膳は古い身分制度を表す生活用具とされ、代わりに卓袱台を使うことがさかんになりました。卓袱台のような丸い食卓は、誰がどこに座ってもいいようにできていて、近代的な家族像にぴったりと考えられたのでしょう。
しかし実際は、父親の席は卓袱台でもきちんと決まっていたそうです。みなさんの家では、食事のとき家族の座る席は決まっていますか?
卓袱台は、正座で座ってもとても窮屈です。家族が多いとなおさらだったでしょう。しかし、家族が近い位置で向き合い、楽しく食事をするにはとても適した食卓なのではないでしょうか。
現在では、生活スタイルや家族構成が変わり、卓袱台を使って家族で食事をすることが少なくなりました。みなさんの家では食事の時はどのようにしていますか?
(上:膳を使った食事 下:卓袱台の食事)
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