大野城歳時記/10月の行事「山の神」
更新日:2019年11月19日
10月の行事「山の神」
「山の神」の祠(井出地区)
牛頸には現在2カ所に「山の神」がまつられています。「山の神」とは、山を支配する神様のことで、牛頸の井出地区では毎年10月17日と20日に神事がとりおこなわれます。
今回は、この「山の神」の神事について紹介します。神事には井出地区の8軒から戸主が出席します。山の神は女性神とされることから、男性のみ参加が許されていました。しかし、現在では戸主の代理として女性が参加することも認められるようになりました。
おしめ打ち(10月17日)
おしめ打ちとは注連縄(しめなわ)を新しく綯(な)い、懸け直す行事です。新米の藁(わら)を左縒(よ)りに綯い、途中に七・五・三本のしめ子と紙垂(しで:和紙)を下げた注連縄を、祠(ほこら)とご神木(しんぼく)に懸け渡します。ご神体(しんたい)である石に拝礼し、その後神様との供食になります。甘酒(女性神であるためアルコール度の低いもの)・干しあご2匹・酢の物・黒豆・煮しめ(7品を串に刺して2本)・赤飯が振舞われ、今年の収穫の話などをしてお開きとなります。
注連縄を懸け渡す様子
お座(10月20日)
場所を当番宅に移して行われます。この時は和装で出席することになります。当番が今年の「山の神」の神事が無事終了したことに礼を述べ、直会(なおらい)となります。料理は汁物(鯉こく)・酢の物・刺身・鉢盛り・山芋・ご飯がならび、おひら(お土産)はかまぼこが3本と決まっています。
最後に祝いめでたを歌い、トウワタシが行われます。今年の当番が来年の当番へお酒を注ぎ、来年の当番は飲 み干さなければなりません。昔は大きなかわらけが使われていたそうです。
当番の仕事は、「山の神」の祠の鍵の管理、おしめ打ち・お座の準備などがあります。神事に参加できるのは男性だけですが、準備などには女性の協力が不可欠となります。当番宅の女性にとっての「山の神」の神事も、神事に使われる食器が手渡された10月21日から始まります。
牛頸の人々は、天狗様や山の神様、猿田彦(さるたひこ)などさまざまな神様によって守られているという想いが強くあります。これからも、このような文化が継承されていくことでしょう。
当番宅で直会の様子
詳しくは解説シート民俗No.15「山の神」を見てください。
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