発掘調査現地説明会/本堂遺跡“須恵器工人のムラかな?”
更新日:2019年5月29日
平成13年9月8日(土曜日)午前10時から本堂(ほんどう)遺跡(大野城市上大利大字上大利)にて、発掘調査現地説明会が催されました。100人近い考古学ファンが訪れ、熱心に説明に聞き入っていました。
本堂遺跡の場所
現地説明会の様子
遺跡は牛頸山から北側にのびる丘陵の東側斜面にあります。さらに東側には古墳時代の集落である上園(かみのその)遺跡、南側300メートルの所には野添(のぞえ)窯跡群があり、古墳時代の窯跡の調査が行われています。
何が見つかったの?
この遺跡では竪穴住居跡・掘立柱建物・土坑(どこう)・ピットが見つかりました。中でも注目されるのは、5号竪穴住居です。住居の床面には土器作りに使ったと思われる粘土が残っており、須恵器を作る工房(こうぼう)であった可能性があります。
また、35号土坑からは焼きの悪い須恵器がたくさん見つかっており、近くに窯があったことを示しています。さらに、2号土坑は粘土を溜める目的があったようで採掘(さいくつ)してきた粘土を貯留・精製して土器作りに使用していたようです。
これらはいずれも奈良時代の遺構で、この時期の須恵器工人がここに住んで須恵器を焼いていたようです。今のところ時期は不明ですが、掘立柱建物が数棟(とう)確認されています。この建物は作られた須恵器の乾燥場所だったり、焼き上がった須恵器を保管していたところかもしれません。
何がわかったの?
道を挟んだ反対側にある上園遺跡は、古墳時代の須恵器工人が住んでいた集落(しゅうらく)と考えられています。今回本堂遺跡で須恵器作りの工房が見つかったことで、古墳時代からこの周辺では須恵器工人が暮らしていたことがわかりました。
まとめ
上大利区画整理地内はこれまで埋蔵文化財の調査がほとんどおこなわれておらず、実態が不明な部分が多くありました。この地区は牛頸窯跡群の一部にも含まれると考えられ、遺跡の在り方がわかれば、窯跡群の評価自体にも大きな影響をあたえると考えられます。今後の調査にご期待ください。
場所:西鉄下大利駅から南ケ丘方面行きのバスで2つ目のバス停「日の浦」そば
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