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鎮西上人の安産祈願(雑餉隈)
 鎌倉時代に筑前国善導寺(ぜんどうじ)(現久留米市)に、鎮西上人(ちんぜいしょうにん)と呼ばれる偉いお坊様が居られました。法然上人(ほうねんしょうにん)の弟子として修業をつまれ、四十三歳のとき郷里の九州に帰られて、仏教伝導のため席が暖まる暇もないうちに、諸国をまわられていました。

 そのような伝導の旅に出られたときのことです。雑餉隈の追分のあたりまで来られると、日が暮れかかりましたので近くにあるお寺を訪ね、一夜の宿をお願いされました。この寺の和尚(おしょう)さんは快く引き受けておもてなしをしましたが、旅の僧が鎮西上人であることを知り、大変喜んで夜遅くまで教えを受けていました。

 夜も更けた頃、裏の庫裏(くり)(寺の台所)の方から苦しそうな女の人のうめき声と、念仏(ねんぶつ)の声が聞こえてきます。上人様がご病気でもおられるのですかと尋ねられますと、和尚さんは坊守(ぼうもり)の妻が産み月になっているのに、まだ子どもが産まれず難産のため苦しんでいるのです、とお答えしました。

 早速上人様はその女の人のために、安産祈願をしてくださいました。すると、今まであんなに苦しんでいた女の人の青白い顔に、赤みがさしほほえみさえ浮かべた安らかな顔になり、無事に玉のような赤ちゃんを産むことができ、母子とも健やかに過ごしたということです。

鎮西上人の安産祈願イラスト

 

鎮西上人と腹帯

 鎮西上人のお母さんは、大宰府の観世音寺に七日間おまいりして上人を身ごもりましたが、難産のため上人が産まれるとすぐ亡くなられましたので、上人はお産をする人々のことをいつも心配されていました。安産でありますようにと祈って、上人が刻まれた腹帯(はらおび)阿弥陀如来(あみだにょらい)がまるられている善導寺では、今も子どもをみごもった人たちが、お腹に巻いて安産を祈る岩田帯を授けてもらっています。


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